【自己破産ブログ③】初めての自己破産。弁護士相談から免責決定までの体験談

📝この記事は【自己破産ブログ②】生活費が足りず借金が増える…主婦が自己破産に至るまでの実体験の続きです。

「自己破産ってどんなふうに進むんだろう…?」

私たちが自己破産を決断した当時は、不安と緊張でいっぱいでした。

実際に申し立てをしてから、管財人との面談、裁判所への出向、そして免責が確定するまでーー。

思っていた以上に現実的で淡々とした流れの中にも、心が揺れる場面がたくさんありました。

「管財人ってどんな人なんだろう?」

定期的に通っていた夫から人柄を聞くことしかできなかった私は、生活を立て直すために管財人の“監視”を受けることも避けては通れない現実だと痛感しました。

この記事では、私たち家族が経験した自己破産の手続きの流れと、そこから得た気づきをお伝えします。

弁護士と面会と相談

女性弁護士が相談者の話を真剣に聞き、書類を確認している場面

某弁護士事務所へ相談依頼の電話をしたのは、迷いに迷った末のことでした。

当日夕方、家族で事務所のあるビルへ向かう道のりは、胸が締め付けられるような重い空気に包まれていました。

対応してくれたのは、落ち着いた雰囲気の女性弁護士。

私たちの状況を一通り聞き終えると、机の上に並べた複数枚のクレジットカードや、消費者金融のカードをじっと見つめ、静かに言いました。

これはもう、債務整理ではどうにもなりません。自己破産しましょう

さらに続けて、こう説明してくれました。

私たちの場合は、財産や借金の経緯を詳しく調べるために管財人が関わる少額管財」での手続きとなり、法律事務所の指示に従いながら進めていくことになる、と。

ドラマやニュースで耳にしたことはあっても、まさか自分たちがその当事者になるなんて思いもしませんでした。

正直、不安や恥ずかしさ、情けなさ…いろんな感情が混ざり合っていました。


📍少額管財とは?

自己破産の手続きの一つで、財産や借金の経緯を調べるために「管財人」が関わる方法です。

通常の管財事件よりも簡略化されていて、期間や費用の負担が少なくなるのが特徴です。

🕒 手続きの流れと期間

  1. 自己破産を申し立て
  2. 裁判所が管財人を選任
  3. 管財人との面談・財産調査
  4. 必要に応じて債権者集会
  5. 調査が終わると免責審尋(裁判所の面談)
  6. 免責許可決定

👉 少額管財の場合、申し立てから免責許可まで4〜6か月ほどかかるのが一般的で、同時廃止事件よりやや長めです。


💰 少額管財で実際にかかった費用

私たちが少額管財で自己破産を申し立てた際に、弁護士事務所へ支払った総額は630,000円でした。

自己破産手続きにおける弁護士事務所の精算書。入金額63万円、弁護士費用や予納金などの出金が記載され、最終的な預り金は0円となっている。
📷「自己破産の少額管財で支払った費用の精算書
(個人情報は加工済み)」

内訳は次のとおりです。

着手金 : 399,000円

申立費用 : 30,000円

(収入印紙代、切手代、通信費など含む)

立替金 : 1,000円

破産管財人報酬予納金): 200,000円

この「破産管財人報酬」は、裁判所が選任する管財人(主に弁護士)への報酬として、申立時にまとめて納める必要がある費用です。

少額管財の場合、通常の管財事件に比べて手続きが簡略化されるため、報酬額も少なめ(多くは20万円程度)に設定されています。


支払いの流れ

最初にこの金額を聞いたときは、正直かなりの負担だと感じましたが、手続きを無事に進めるために必要な費用であり、免責決定までの安心感には変えられませんでした。

私たちの場合は、一括で支払うことが難しかったため、分割払い+ボーナス月に残高を支払う形を取りました。

2013年9月27日:弁護士費用等として 10,000円(領収書あり)

・2013年10月20日・11月20日・12月20日:管財費用20万円を3回に分け、各53,000円を支払い

・2014年1月20日:管財費用の残りと、着手金・申立費用・立替金をまとめてボーナスで完済(409,000円)


📄 実際の支払い明細と領収書(個人情報は加工済み)

【余談】まさかの追突事故から中古車購入まで そして帰り道

3台の車が衝突している玉突き事故のイメージ

自己破産の準備を進めていたある日、思いもよらない出来事が起きました。

私が運転していた自家用車に、後ろから車が追突。その勢いで前の車にもぶつかるという玉突き事故にあったのです。

ただでさえ心が折れかけていた時期に、まさかの事故。

「やだ…なんで?嘘でしょ?」と

心の中でそう叫びながらも、現実は容赦なく押し寄せてきました。

車は一部損傷で済みましたが、使い続けることは難しい状態。

幸い同乗していた主人と娘が無事だったことが唯一の救いでした。

後から聞いた話によると、追突してきた車は家族連れで、全員がシートベルトをしていなかったとのこと。信号が赤になる間際、運転していた女性が後部座席の荷物を取ろうとしてブレーキが間に合わなかったそうです。

もちろん事故は不可抗力ですが、私たちも「公共交通機関で行けばよかったかもしれない」と反省しました。


中古車購入までの経緯

主人の通勤手段の一部でもあったため、車は生活に不可欠。

しかし、当時は預貯金もゼロ。

悩んだ末、夫の両親と妹さんに相談し、中古の軽自動車(40万円)を購入してもらうことになりました。

車の名義は義父、返済は「月1万円+ボーナス月は少し多め」という約束。

私は「絶対完済する」と心に誓い、手書きの返済リストを作りました。

義実家への手書き返済リスト👇】

返済のたびに線を引き、1つずつ完済していくための記録。
絶対やり遂げようと決めていました。

【2冊の家計簿👇】

(緑ノート)破産手続き前の家計簿 裁判所に毎月提出するため、家計全体の状況を記録した書類のコピーです。           (青ノート)家計簿の詳細ページ 日々の支出やローン返済額を細かく記録。

【ページの一部👇】

手続き中の収支報告書👇】

裁判所に毎月提出するための家計全体の状況記録(個人情報は加工)
当時のたすくま
当時のたすくま

ローンだらけの家計簿…泣」

自己破産が始まるまでの流れ(申立前〜)

①申立準備期間📄(〜2013年12月上旬)

・この期間に弁護士が「受任通知」を債権者へ発送し、支払い・取立てがストップします。

・弁護士事務所の指示に沿って、資産の調査や必要書類の収集を進めました。

・同時進行で、マイホームの競売手続きも開始されました。

🗓️2013年12月上旬

競売開始決定通知」が届きました。

当時、まだ引越し先が決まっておらず、正直パニック状態…。

🗓️2014年3月上旬

なんとか近所に賃貸を見つけ、娘の学区を変えずに済んだのは救いでした。

②裁判所への申立と管財人との面談🧑‍⚖️(2013年12月〜)

🗓️2013年12月初旬

裁判所へ正式に自己破産を申立。

🗓️約2週間後

裁判所と管財人事務所の両方にて、それぞれ1回ずつ面談。

(※原則、平日に出向く必要があります)

これから、郵便物は管財人へ転送されるようになります。

夫の話によると、管財人は60代くらいの小綺麗なスーツ姿の男性弁護士。

事務所はこじんまりとしていて、キャビネットには書類がギッシリ。でも、デスク周りは整然としていて「きっちりしている人なんだな」という印象だったそうです。

ドアを開けた瞬間からドキドキ。

「では、この書類にサインをお願いします」

「はい…」

声が少し震える自分に気づきながらも、相手は淡々とした口調で、必要な説明と確認を粛々と進めていく。雑談は一切なし。

「無事に終わった…」

事務所を出た瞬間、ふっと肩の力が抜けて、冷たい外気がやけに気持ちよく感じられたーそんな面談だったそうです。

③債務者集会👥(2014年4月下旬)

弁護士とともに裁判所へ出向き、債権者集会に参加しました。

この日に「免責決定」が出されます。

夫によると、実際の債務者集会には、ご迷惑をかけた関係の方は誰も来なかったそうです。

たすくま夫
たすくま夫

「誰も来なかった。でもその“誰も来なかった”という事実が、余計胸に刺さった」

④免責決定・手続き完了📣(2014年9月中旬)

🗓️2014年9月中旬

無事に「免責が確定」し、借金の返済義務が法的にゼロになりました。

申立から数えて、およそ9ヶ月で手続き完了となりました。

夫は、裁判官からの最後の一言が、今でも胸に残っているそうです。

たすくま夫
たすくま夫

あのとき、裁判官は「本日をもって手続きは終わりましたが、関係者に迷惑をかけたことを忘れず、これからは謙虚に生活してください」その言葉が、今でも胸に残ってる。

免責決定が出ても、すべての借金が消えるわけではありません。税金や教育費、罰金などは残ります。でも、ほとんどの借金は免除されます。信用情報の制限もありますが、家族と普通に暮らすことはできますし、少しずつ未来を取り戻せます。私たちもそうやって生活を立て直してきました。

2.手続き中に手放したものと、残ったもの

光が差し込む開いたドア。新しい生活や未来への希望を象徴するイメージ

自己破産を進める中で、私たちの生活にもいくつか大きな変化がありました。

「どんなものが手元に残せるの?」「何が没収されるの?」という不安は、私たち自身も感じていたことです。ここでは実際に経験したことを正直にお伝えします。

住宅🏠

当時、私たちは戸建ての住宅ローンが残っていたため、手放すことになりました。

一括で払えるお金も当然ありません。


裁判所から「競売けいばい開始決定通知」が届いた後、管財人の許可のもとで引越し費用として、約30万円が支給され、なんとか引越し先を確保することができました。指定した口座に振り込みだったと思います。その前に、「不動産競売事件に基づく現況調査」について書面で連絡があり、記載された日付に、裁判所の担当者立会のもと、間取り図を使って自宅の調査が行われました。

「不動産競売事件に基づく現況調査通知書」👇

※一部個人情報を伏せて掲載しています。

📷実際に届いた「不動産競売事件に基づく現況調査通知書」です。

このように、裁判所から正式な書面で事前に調査の案内が届きます。

立ち合いの日が指定されており、その日時に不在でも、調査自体は行われることがあると記載がありました。


なお、この調査は基本的に立ち合いが求められますが、もし当日不在だった場合でも、物件にはたち入って調査されることがあるそうです。

タイミング的にはかなりギリギリで、不安でいっぱいでしたが、近所の賃貸に移れたおかげで、娘の学校区はそのままで済んだことが、何よりの救いでした。

車について🚙

玉突き事故にあった車のローンも残っていたため所有権はディーラー側にあり、

そのため、自己破産の手続きに入った段階で、車はディーラーに引き取られる形となりました。

スマホの機種代と通信系📱🛜

当時使っていたスマホの機種代も分割が残っており、夫婦ともにスマホの契約者が夫だったので、手続きの中で機種は回収…没収となりました。

自宅で使用していたWi-Fiも同様で、契約中の機器も回収されました。

貴金属類💍

破産前に分割ローンで購入したネックレスと指輪もありましたが、管財人から「この商品は5万円にもならないため、換価の対象にならない」と伝えられました。

高価だと思っていた物でも、査定によっては手元に残せる場合があることを、このとき初めて知りました。

区分項目状況・理由
手放したもの住宅住宅ローンが残っており、競売により手放す。引越し費用として約30万円が支給された。
車(玉突き事故後)ローン残債があり所有権はディーラー。自己破産開始時に引き取り。
スマホ本体(夫婦分)機種代分割が残っており、契約者が夫のため回収。
自宅Wi-Fi機器契約中の機器は回収。
残ったものネックレス・指輪分割ローン購入品だったが、査定額が5万円未満で換価対象外となり手元に残った。

3.自己破産後に行ったその他の手続きと支払い💸

家・車・通信機器など、生活に関わる多くのものを見直す必要がありました。

正直、戸惑いや不安もありましたが、「なくても生きていける」「必要なら後でも整えられる」と思えるようになったのは、大きな収穫だったかもしれません。

当時のたすくま
当時のたすくま

「正直、慣れないことばかりで大変だったけど、

今思えば、これは少しずつ生活を整えていく“始まり”だったかも知れません」

以下は、自己破産後に行った主な手続きや支払いの一部です。

固定資産税の残り2期分について📑

自己破産しても、固定資産税などの税金は免除されません。

そのため、残っていた2期分は納める必要がありました。

ただ、指定の納期には支払いが難しかったため、納期変更の手続きをしてから納付しました。

NHK受信契約の解約(廃止届の提出)📺

テレビの受信設備がなくなったため、NHKに廃止届を出して契約を解約しました。

この手続きはネットでも簡単にできますが、忘れずにやっておく必要があります。

自動車税の還付について🚙

新車で購入していたフリードは、ローンが残っていたため、ディーラーに返還しました。

その後、支払っていた自動車税の一部が「通語納額」として処理され、県税として還付されましたが、これは管財人の口座に返金されました。

ソーラー発電の売電分について💡

自宅に設置していたソーラー発電の売電収入(約1万円弱)が、破産申立後に個人名義の口座に入金されました。その後、この入金口座は解約しなければいけなかったため、入金分はすべて引き出して対応しました。

これらの細い支払いや手続きは、破産手続きとは別で対応が必要なものが多く、ひとつひとつ確認しながら進めました。


この通知書を受け取ったとき、すべての重荷が少し軽くなったような気がしました。

📝こちらが、裁判所から実際に届いた「免責決定通知書」です👇

※個人情報はすべて加工しています。
たすくま家族
たすくま家族

「やっと終わったんだ」そう思えた瞬間でした。

ここから“本当の再出発”が始まったのかもしれません。


ノートパソコンの上に座って作業する人のイラスト。ブログや学びを象徴するイメージ

💡次回【自己破産体験記④】そして、夫だけが管財人と面談したあの日。
小さな事務所で交わされた粛々としたやり取りと、そのとき私が感じた“見えない不安”についてお話しします。


📕この記事は、【自己破産体験記】シリーズの第3回です。

まだ第1〜2回を読んでない方は、こちらをご覧ください。👇

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