
📝 前回の記事はこちら →【後編】自己破産から再出発。手続きの流れと気づいたこと
はじめに
自己破産は「終わり」じゃなくて、「始まり」だった——今ではそう実感しています。
正直、申し立てを決断するまでは毎日が不安と罪悪感の連続で、夜もろくに眠れませんでした。
でも、あの決断があったからこそ、見える景色が変わり、今こうして言葉にすることができています。
1.金銭面での再出発
自己破産をした直後は、通帳の残高も少なく、「これからどうやって生きていこう」と焦りしかありませんでした。
でも、“ゼロからのスタート”だったからこそ、**「何が本当に必要な支出なのか」**を見つめ直すことができたと思います。
たとえば、惰性で続けていたサブスクやなんとなく寄っていたコンビニ。休日だからと無闇に遠出すること…など。
今では「それって本当に必要?」と自分に問いかけるクセがついて、大幅に減りました。

この時期は、1円単位でも気を抜かずに見直していました。
2.精神的に感じた解放感
いちばん大きかったのは、精神的な重荷がスッと軽くなったことです。
「払えない」「どうしよう」「誰にも言えない」という不安を抱え続ける毎日から解放されて、
ようやく深く眠れるようになりました。
「もう大丈夫」と思えた日は、今でも忘れられません。
夫の勤務先に自己破産がバレることもなく、官報に掲載されると言っても、詳しく調べる時間と興味がある人でなければ気づかれることもありません。
とはいえ、実際に困ったことや恥ずかしい思いをしたこともありました。
・車を返却する際、ディーラーで「自己破産のための手続きです」と、他のお客さんの前で言われてしまったこと。

「え…ここで言う? やめて、お願い…」
・パート先で「どうして戸建てを売ったの?」と聞かれて返答に困ったこと。

「どう答えたらいいの…正直に言えない…」
・主人名義でクレジットカードやETCが作れず、私のカードを使う中で、店員さんに「ご主人のカードはないんですか?」と聞かれ、思わず「主人はカードが好きじゃなくて…」と苦しい言い訳をしたこと。
・賃貸物件を探す際、不動産屋さんに事情を正直に話すのに少し勇気がいったこと。

「今さら隠しても仕方ない…。勇気出して言おう」
…こんなふうに、細かいところで気まずさや配慮のなさに戸惑うことはありました。
3.自己破産から学んだ大切なこと
もちろん、お金の使い方・向き合い方も学びました。
でも何より、**「自分を責めすぎないこと」**の大切さを知りました。

「もう、これ以上は自分を責めなくていいんだよね…」
自己破産って、どうしても「恥ずかしい」「情けない」と思われがち。
でも、実際に経験して思ったのは——
これは「これ以上、自分を追い込まないための選択肢」だったということです。
4.自己破産しなければどうなっていたか
今でもときどき考えます。
もしあのとき決断していなかったら…たぶん、心身ともに限界だったと思います。
もしかしたら、離婚という選択肢も出ていたかもしれません。
(読者の中には、破産前から「なぜ離婚しないの?」と思った方もいるかもしれませんね)
だからこそ、過去の自分に「勇気を出してくれてありがとう」と、今は伝えたいです。
5.小さな変化、でも大きな気づき
・お金のありがたみがわかるようになった

「お金って、“あるのが当たり前”じゃなかったんだな…」
・少ない収入でも、優先順位をつけて使えるようになった
・「ないなら工夫しよう」と前向きになれた
・節約が「我慢」ではなく「選択」になった

「節約って、つらいことじゃなかったんだ」
また、役に立った情報源として「お金の大学(リベ大)」の両学長の動画に出会えたのも大きかったです。

「これもっと早く知ってたら…!」
- 銀行口座を見直したことで、銀行巡りがなくなり、手間が減った
- デビットカード中心にしたことで、無駄遣いが減り、支出管理がラクになった
- 財布にカードを入れず、現金で支払うようにして「使う感覚」を取り戻した
- 家計簿アプリ(マネーフォワード)で支出を管理し続ける習慣がついた
破産手続き中、裁判所に1ヶ月ごとの家計報告を提出する必要があったので、自然と記録をつける癖がついたのも大きな変化でした。
6.家族との関係
お金についてオープンに話せるようになったことで、家族との会話も少しずつ変わってきました。
破産前の苦しかった頃は、私の独断で「今回の分はリボ払いにしておこう。大丈夫、来月には返せるから」と、自分に言い聞かせるようにして、“借金の沼”にズブズブとはまってしまっていました。
今となっては遅いですが、そうしたことも、主人にきちんと話せるようになりました。
主人も「やっぱり話し合いは大事だ」と、改めて実感したようです。

「ごめんね…ほんとは言うべきだったよね💦」
生活を立て直していく過程では、私自身が余裕を失い、主人を責めてしまったこともあります。
感情的になって、何度もケンカをしたこともありました。
当時、まだ幼稚園に通っていた娘に対しても、お金のことが常に頭を占めていて、十分に構ってあげることができませんでした。
些細な変化にも気づけず、寂しい思いをさせてしまっていたと反省しています。

「ちゃんと見てあげられてたかな…」
また、結婚を機に正社員からパートへと働き方を変えましたが、当時の職場では人間関係に悩むことが多く、上司に相談しても改善されず、最終的には退職せざるを得ませんでした。
今振り返ると、条件の良い職場に転職して収入を上げる選択もあったかもしれません。
両学長の言葉を借りるなら、「自分は社長であり、社員。より良い環境を自ら選んでいくべき」と言っていた気がします。(少しうろ覚えですが…)
その考え方は、今の私にも強く響いています。
もちろん、自己破産の原因を誰かのせいにするつもりはありません。
ただ、義母から「家計管理が下手なのね」と言われたときは、やっぱり少し傷つきました。

「私だけのせいじゃないのに…」
自己破産したことは、義実家や実家には伝えず、「家を売ることにした」とだけ伝えました。
結果として、それで良かったと思っています。
義母が分譲マンションを勧めてきたこと、そして私自身がもっと夫としっかり話し合っていれば…という後悔もあります。
でも、だからこそ「家族でしっかりと話し合うことの大切さ」を、身をもって実感しています。
7.最後に:恥ずかしいを超えて
この体験を文章にするのは、やっぱり少し恥ずかしいです。
でも、それ以上に「誰かの助けになれたらいいな」という気持ちで書いています。
自己破産は、決して逃げではありません。
本当に困ったときに利用できる、国民に与えられた救済の制度なんです。
もちろん、制度を使わずに済むのが理想です。
でも、だからといって「使った自分がダメ」なわけではない。
「立ち止まって、自分と家族を守るための選択肢」なんだと思います。
もし、今まさに苦しんでいる方がいたら——
どうか、自分を責めないでください。人生は、ここからまた始められます。

「大丈夫。あなたにも、きっとまた始められるよ」
📝あとがき : 忘れられない体験①
ここまで読んでくださってありがとうございました。
最後に、私が自己破産に至るまでの中で、今でも忘れられない出来事をひとつだけ共有させてください。
住宅ローンを契約していたある銀行の女性営業の方から、ある日突然電話がかかってきました。
「一度、お話ししたいことがあるんです」と言われ、電話を終えた数時間後には玄関先に姿がありました。
その場で定期預金の勧誘をされたのですが、こちらは生活も苦しい中。
「今は余裕がないんです」と伝えたところ、その方は少し苛立ったようにこう言いました。
「え?1万円も出せないんですか?」

「こっちは生活するので精一杯なのに…」
「そんなふうに言われるなんて思わなかった…」
あの一言は、今でも胸に残っています。
たとえ営業であっても、人の事情にもう少し寄り添ってほしかった――
そう思わずにはいられませんでした。
この体験を通じて、私は「人にどう接するかの大切さ」や「自分の状況をきちんと伝える勇気」も学びました。
どんな場面でも、相手に寄り添う気持ちを忘れずにいたいと、今は思っています。
📝あとがき : 忘れられない体験②
友人が保険会社に勤め始めたのをきっかけに、「応援のつもり」で勧められるまま保険に加入したことがあります。
また、当時、実母の知人である保険外交員の女性を紹介されたこともありました。
その方は、自分の営業成績が足りなくなると、
「今月、成績が足りないから、たすくまさん!この保険をこっちに切り替えて」
「この保険のほうが今よりお得よ」
と何度も言ってきて、私はその都度、言われるままに保険を乗り換えていました。
そんなある日、その外交員さんが所属する保険会社の監査部から電話がありました。
「現在加入している保険に不審な点があり、調査しています」とのこと。
数日後、その外交員と、その上司という男性が揃って我が家に謝罪に来ました。
上司の方が状況を説明している途中で、外交員の女性は黙ったまま立ち上がり、私たちに一言の挨拶もなく家を出ていってしまいました。
上司もそれを引き止めることなく、少し呆然とした気持ちでその場に残されたのを覚えています。
その後、その方からは一度も連絡はありませんでした。

「え…何も言わずに行っちゃうんだ…」
今振り返ると、本当に良い勉強になりました。
両学長の言葉を借りると、「保険は要らん!」(※詳しくは『お金の大学・改訂版』の書籍や動画に説明があります)という一言に尽きます。
まさにその通りで、当時の自分に「ちゃんと調べてから決めて!」と声をかけてあげたくなります。
友達や母の知人だからといって、安易に人を信じることは、ときに危うい結果を招くのだと、身をもって知りました。
その人の立場や背景によっては、一見“善意”に見える提案であっても、私たちのことを本当に思っての言葉ではなく、単に「営業成績(=手数料)」のためだったということもあると、今では冷静に振り返ることができます。
この経験もまた、私にとって大きな教訓のひとつになりました。

「もっと早く、“自分で考えること”を大事にしてたらな…」
書籍『お金の大学・改訂版』を読みました。
(1つ前に「お金の大学」の書籍も出版されています。)
自分で買って読んだので、表紙の写真を載せますね📘

「お金のこと、
こんなにわかりやすく学べるなんて!」
「この1冊で、考え方がガラッと変わったかも」

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「ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。あなたの再出発も、きっと大丈夫です。」
▶︎ 次回の記事はこちら:【夫だけが管財人と面談。私は“見えない不安”に包まれていた日】
手続きは進んでいるのに、私には何も見えない。そんな日々の中で感じたことを綴ります。
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